デフォルト の"/etc/mail/virtusertable"には何の記述もありませんので、エディタの画面は空白になるはずです。 記述方法は以下のようになります。 [受信対象のメールアドレス] [書き込み先のアカウント] 一つの設定は一行で記述し、二つのパラメータの間は空白またはタブで区切ります。 例えば以下のように記述します。 webmaster@obenri.com    webmas_obenri webmaster@ugegege.com    webmas_ugegege この設定によって、 "webmaster@obenri.com" 宛てのメールは ユーザーアカウント "webmas_obenri" のメールボックスへ、 "webmaster@ugegege.com" 宛てのメールはユーザーアカウント "webmas_ugegege" のメールボックスへ書き込まれることになります。 記述が終わったら"/etc/mail/virtusertable"を保存し、nanoエディタを閉じます nanoエディタでファイルを閉じる 。 実は"/etc/mail/virtusertable"はそのままでは使えないので、 makemap コマンド を使ってこの テキストファイル を バイナリ 形式の データベース "/etc/mail/virtusertable.db" に変換します。 [root@web1 ~]# makemap -v hash /etc/mail/virtusertable.db < /etc/mail/virtusertableEnter key=`webmaster@obenri.com', val=`webmas_obenri' key=`webmaster@ugegege.com', val=`webmas_ugegege' [root@web1 ~]# 次に、 useradd コマンドで書き込み先のユーザーアカウントをそれぞれ作成します。 MUA で受信するためのパスワードも passwd コマンドで設定しておきましょう。 [root@web1 ~]# useradd webmas_obenriEnter [root@web1 ~]# passwd webmas_obenriEnter Changing password for user webmas_obenri. New password: 新しいパスワードを入力します。Enter Retype new password: もう一度新しいパスワードを入力します。 Enter passwd: all authentication tokens updated successfully. [root@web1 ~]# useradd webmas_ugegegeEnter [root@web1 ~]# passwd webmas_ugegegeEnter Changing password for user webmas_ugegege. New password: 新しいパスワードを入力します。Enter Retype new password: もう一度新しいパスワードを入力します。 Enter passwd: all authentication tokens updated successfully. [root@web1 ~]# 以上で設定は終わりです。 この場合、メールアドレス "webmaster@obenri.com" を利用するユーザーのMUAの設定パラメータは以下のようになります。 メールアドレス: webmaster@obenri.com 受信メールサーバー(POP3): mail.obenri.com 送信メールサーバー(SMTP): mail.obenri.com アカウント名またはユーザー名: webmas_obenri パスワード: web1.obenri.comシステム上のwebmas_obenriのパスワード 一方、メールアドレス "webmaster@ugegege.com" を利用するユーザーのMUAの設定パラメータは以下のようになります。 メールアドレス: webmaster@ugegege.com DNSサーバー で "mail.ugegege.com" が設定済みであれば、それを設定することもできます。 受信メールサーバー(POP3): mail.obenri.com 送信メールサーバー(SMTP): mail.obenri.com アカウント名またはユーザー名: webmas_ugegege パスワード: web1.obenri.comシステム上のwebmas_ugegegeのパスワード 以上が"/etc/mail/virtusertable"を用いた基本的な「ホスト名ごとのメールの振分け」の設定になります。 関連セクションへ 関連セクション・ メールサーバーの構築  ホスト情報の表示   全ページリストへ   お便利用語リスト  このページの先頭へ↑ "/etc/mail/virtusertable"の設定のポイント "/etc/mail/virtusertable.db" は、 構築中のLinuxサーバー が受信するメールアドレスの設定 "local-host-names" 受信するメールアドレスの設定 が評価された後に参照されますから、左側のパラメータ [受信対象のメールアドレス] は必ず"local-host-names"で受信が有効になっている ホスト名 のメールアドレスを設定する必要があります。 また、 [書き込み先のアカウント] が存在しない場合は「宛先不明」として処理されますので、同じ名前の アカウント の作成も忘れないようにしてください。 さて、"/etc/mail/virtusertable"の利用については、一つ大きな注意点があります。それは例えば "tanaka@obenri.com" と "tanaka@ugegege.com" の振分けにおいて、既に 構築中のLinuxサーバー 上に "tanaka" というアカウントが存在するケース、つまり一般的にいうと、 「メールのアカウント名と同名のアカウントがシステム上に存在する場合」 の扱いが難しくなるということです。 通常 Sendmail は、例えば "tanaka@[ホスト名]" 宛てに送られてきたメールデータについて、ホスト名が"local-host-names"と一致した場合には、 "@" より前の部分のアカウント名に一致するアカウントを 構築中のLinuxサーバー 上から探し、メールボックスへの保存を試みます。 ところが、"/etc/mail/virtusertable.db"に有効な設定が存在すると、同名のアカウントへの書き込みを試みる前に"/etc/mail/virtusertable.db"が参照されるようになります。 そして"/etc/mail/virtusertable"に記述された上の行から順に評価され、書き込みの条件が一致してメールボックスへの書き込みが終了した段階で処理が終了します。 そして、もしも"/etc/mail/virtusertable"で設定されたどの条件とも一致しなかった場合に、Sendmailは 同名のアカウントへの書き込みを試みる ことになります。 ということは、例えば"local-host-names"に、 # local-host-names - include all aliases for your machine here. obenri.com mail.obenri.com ugegege.com という設定があり、"/etc/mail/virtusertable"で、 tanaka@obenri.com    tanaka tanaka@ugegege.com    tanaka_ugegege という設定を有効にしているとすると、"/etc/mail/virtusertable"に明示されていない "tanaka@mail.obenri.com" 宛てのメールは、アカウント "tanaka" のメールボックスに書き込まれることになります。 従って、「アカウント "tanaka" は、 "tanaka@obenri.com" 宛てのメール以外は受け付けない。」という設定にしたければ、"/etc/mail/virtusertable"には、 tanaka@mail.obenri.com宛てのメールは「宛先不明」として処理したいので、存在しないアカウント "no_user" に対して架空の転送処理を行います。 tanaka@obenri.com    tanaka tanaka@mail.obenri.com  no_user tanaka@ugegege.com    tanaka_ugegege と、"local-host-names"に記述されているすべてのホスト名について明示的に設定しなければならないことになります。 もちろんこの程度であれば大した面倒でもないのですが、Sendmailで扱う ドメイン名 が増えると、"/etc/mail/virtusertable"にはその都度記述を増やさなければなりません。 例えば"/etc/mail/local-host-names"が、 # local-host-names - include all aliases for your machine here. obenri.com mail.obenri.com ugegege.com aa.ugegege.com okekeke.com obibibi.com となった場合、"/etc/mail/virtusertable"は、 tanaka@obenri.com    tanaka tanaka@mail.obenri.com  no_user tanaka@ugegege.com    tanaka_ugegege tanaka@aa.ugegege.com  no_user tanaka@okekeke.com    no_user tanaka@obibibi.com    no_user と 「受信をしないためのやむをえない記述」 ばかりになってしまいます。 ここでは "tanaka" に限って説明している